社会不安障害(SAD)の原因は、1つではありません。
一般的に、心理・環境的要因、遺伝的要因、生物学的要因などの様々な要因が
複雑に絡み合って生じるとされています。
心理・環境的要因
人間は緊張すれば自律神経の中の交感神経が高まるメカニズムを持っています。
顔が青ざめる、瞳孔が広がる、心臓の鼓動が高まる、呼吸が速くなる、胃腸の働きが低下する、胸がつかえる、汗をかく、体毛が逆立つ、細かくふるえる・・・
これが交感神経が高まったときの体の変化です。
社会不安障害の方の中には、このような交感神経の身体症状が出やすい体質の方がおられるようです。
また、人前で馬鹿にされたり恥をかいた出来事が社会不安障害のキッカケとなることもあります。
遺伝的要因
全般型の社会不安障害の方のご家族を念入りに調査すると、16%の方に社会不安障害が見つかったという研究があります。
いわば、ご家族から受け継いだ『体質』です。
しかし決して、はっきりとした遺伝病というわけではありません。
社会不安障害になる原因は遺伝的な要素も一役あるけれど、さらに、育ちや社会環境の影響も大きく関係していると考えられます。
生物学的要因 -脳のメカニズム-
人間の脳は、自分が置かれている状況を情報として大脳に入れる前に、情報の強さを調節するシステムがあります。
その刺激の強さを調節する脳内ホルモンが、ドパミンとセロトニンです。
社会不安障害の人は、このドパミンとセロトニンが上手く作用しないため、情報の強さを処理しきれずに、強い刺激のまま大脳に送ってしまう、と推定されています。
いわば、『脳内が不安や緊張を感じやすい体質になってしまっている』といえるでしょう。
実際に不安や恐怖の感情は、脳の扁桃体(へんとうたい)が関係しています。
扁桃体は、いわば不安のスイッチとも言われています。
社会不安障害の人は、扁桃体の反応が敏感すぎるとも言われています。
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