心療内科受診される方の多くに全身倦怠感がある方が多いですね。
ストレスから不眠症状があり不眠が原因の全身倦怠感の方もいますし、
交感神経モードが続いて全身倦怠感を感じる方もいます。
ストレスで過緊張状態が続くと体は疲れますからね。
当院では治療開始時には、体の状態を把握するために血液検査を行っていますが、
治療開始時の血液検査で、貧血(特に女性では鉄欠乏性貧血)が見つかる方が割と多いです。
血液検査の見方で「RBC(赤血球数)」「Hb(血色素)」「Ht(ヘマトクリット)」の
3つの指標は割と皆さん気にされていますが、MCVやMCHやMCHCなどの指標を
意識される方は余りいません。
しかし、この3つの指標は非常に大事です。
◆平均赤血球容積(MCV) 男性83-101 女性80-101
◆平均赤血球血色素量(MCH)男性28.2-34.7 女性25.4-343.
◆平均赤血球血色素濃度(MCHC) 男性31.8-36.4 女性31.3-36.1
まず平均赤血球容積MCVから「大球性貧血」「正球性貧血」「小球性貧血」が分かります。
Hb値(ヘモグロビン値)が低く、
① MCVが大きいなら→大球性貧血
② MCVが正常なら→正球性貧血
③ MCVが小さいなら→小球性貧血 に分類されます。
それぞれの貧血の特徴を説明します。
大球性貧血:赤血球が通常よりも大きい状態です。
平均赤血球容積(MCV)が増加しています。
主な原因として、ビタミンB12欠乏症(悪性貧血)や葉酸欠乏症などが挙げられます。
これらの栄養素の不足から大球性になると言われています。
また骨髄異形成症候群の可能性もあります。
また長期間のアルコール多飲によっても大球性貧血が起きます。
これはアルコールの骨髄毒性と葉酸の腸肝循環障害に起因している考えられています。
アルコール多飲者は大球症のみを認め、貧血を伴わない場合もあります。
正球性貧血:赤血球が通常のサイズの貧血です。
平均赤血球容積(MCV)が正常範囲内にあります。
正球性貧血の原因は多岐にわたりますが、急性出血、溶血性貧血、
再生不良性貧血、白血病などが考えられます。
他にも慢性疾患や炎症、慢性腎臓病などが原因となる場合もあります。
更に検査をする場合は網状赤血球数を確認します。
赤血球は、幹細胞で発生した前赤芽球が段階を経て成熟して完成しますが、
網赤血球は、赤血球になる直前の段階の若い赤血球のことをいいます。
完全な赤血球よりやや大きめで、骨髄の産生能を知る指標となります。
小球性貧血:赤血球が通常よりも小さい貧血です。
平均赤血球容積(MCV)が低下しています。
一般的な原因として、鉄欠乏性貧血が挙げられます。鉄欠乏性貧血(IDA)になると、
血清鉄や血清フェリチン値が低下、またIBC(相鉄結合能)が上昇します。
鉄欠乏性貧血では赤血球を増やす働きのエリスロポエチンが分泌されますが、
血小板にも作用してしまうため血小板が増加します。
隠れ貧血を見つけるためには血清鉄でなくフェリチンの測定が重要です。
鉄欠乏状態だとセロトニン神経にも悪影響となり情緒不安定になり易いと言われています。
IDAでは爪がスプーン状に変形したり、氷食症(無性に氷を食べたくなる)が見られたりします。
また脱毛や舌炎、口角炎が起きやすくなります。
生理がある女性は常に鉄欠乏状態でないかの確認が必要となります。
また話を戻して小球性貧血には慢性疾患によるものもあります。
平均赤血球血色素量(MCH)
平均赤血球血色素濃度(MCHC)もチェックが必要ですが、
長文になるためMCVだけでも知ってもらいたいため割愛しました。
血液検査で貧血を指摘されたら、まず次に、
「MCV」「MCH」「MCHC」もチェックされてみてくださいね!!
貧血の原因による治療が必要ですが、漢方薬では
108番の人参養栄湯 (にんじんようえいとう)
48番の十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
ツムラ137番・クラシエ49番の加味帰脾湯(かみきひとう)は
造血機能を高めて貧血を治すという適応のある漢方です。
原因による治療プラスアルファで漢方も併用するのもOKだと思います!!
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