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PDE-5阻害薬(バイアグラ・レビトラ・シアリス)はアルツハイマー病の予防になる?

PDE-5阻害薬 Phosphodiesterase type 5 inhibitors(バイアグラ・レビトラ・シアリス)は、
主に勃起不全(ED)の治療に使用される薬剤ですが、
近年、アルツハイマー病などの認知症の予防や治療にも効果がある可能性が示唆されています
以下に、現時点でのPDE-5阻害薬がアルツハイマー病を予防するメカニズムや研究の現状について
まとめてみます。

1. PDE-5阻害薬とアルツハイマー病の関係

アルツハイマー病は、脳内でアミロイドベータ(Aβ)やタウタンパク質の異常な蓄積が原因で、
神経細胞が徐々に損傷を受け、認知機能が低下する神経変性疾患です。
PDE-5阻害薬は、血管機能の改善を通じて、アルツハイマー病の進行を遅らせたり、
予防したりする可能性があると言われています

 

2. PDE-5阻害薬の作用メカニズム

PDE-5阻害薬がアルツハイマー病に対して有効である可能性がある理由は、
以下の作用メカニズムによるものです。

(1) 血管内皮機能の改善

アルツハイマー病の患者では脳内の血流が低下し、
神経細胞への酸素と栄養の供給が不足することが知られています。
PDE-5阻害薬は、脳内の血管を拡張させ血流を改善することで、
脳の血流不足を解消し、神経細胞の健康を保つ役割を果たすとされています。

(2) アミロイドベータ(Aβ)の蓄積抑制

アルツハイマー病の発症には、アミロイドベータ(Aβ)と呼ばれる
タンパク質の異常な蓄積が関与しています。
PDE-5阻害薬は、脳内でAβの蓄積を抑制する可能性があることが研究で示唆されています。
これにより、アルツハイマー病の進行を遅らせる効果が期待されています。

(3) 抗炎症作用

アルツハイマー病では、炎症反応が脳内で活発化し、神経細胞の損傷が促進されます。
PDE-5阻害薬は、抗炎症作用を持ち、脳内の炎症を抑制することで、
神経細胞の損傷を防ぎ、アルツハイマー病の進行を遅らせる可能性があります。

(4) 抗酸化作用

酸化ストレスは、神経細胞の損傷やアルツハイマー病の進行に関与しています。
PDE-5阻害薬は、抗酸化作用を通じて酸化ストレスを軽減し、
神経細胞の保護に寄与する可能性があります。

(5) ニトリックオキシド(NO)の増加

PDE-5阻害薬は、ニトリックオキシド(NO)のレベルを増加させることで、
血管の拡張や血流の改善をもたらすだけでなく、
神経伝達物質のバランスを調整する効果も期待されています。
NOは神経保護作用を持ち、アルツハイマー病の進行を抑える可能性があります。
 

3. 研究の現状

PDE-5阻害薬がアルツハイマー病の予防に効果があるかどうかについては、
いくつかの研究が行われていますが、まだ確固たる証拠は得られていないようです。

  • 観察研究: 大規模な観察研究では、PDE-5阻害薬を使用した人々でアルツハイマー病の
    発症リスクが低下していることが示されています。
    しかし、これらは因果関係を示すものではなく、さらなる研究が必要とされています。

  • 臨床試験: 一部の臨床試験では、PDE-5阻害薬が認知機能にポジティブな影響を与える
    可能性が示されていますが、その効果を確認するにはより多くの被験者と
    長期間の研究が必要です。

  • メタ分析: いくつかのメタ分析では、PDE-5阻害薬の使用が認知機能の低下を遅らせる
    可能性があると示されていますが、異なる結果も報告されており、
    結論はまだ一致していません。

4. 課題と今後の展望

現在のところ、PDE-5阻害薬がアルツハイマー病の予防に効果があるかどうかについての
確定的な結論は出ていません。

以下の課題が挙げられます。

  • 安全性と副作用の評価: アルツハイマー病の予防目的での長期使用における
    安全性や副作用についてのデータが不足しており、これらの評価が必要です。

  • 大規模臨床試験の実施: 大規模な臨床試験を通じて、PDE-5阻害薬が
    アルツハイマー病の予防や進行抑制に本当に効果があるかどうかを
    検証することが求められます。

  • 作用メカニズムの解明: PDE-5阻害薬がどのようにしてアルツハイマー病の
    病態に影響を与えるのか、具体的なメカニズムを解明するための基礎研究が必要です。
     

まとめ

PDE-5阻害薬は、血管機能の改善や抗炎症作用、アミロイドベータの蓄積抑制などを通じて、
アルツハイマー病の予防に寄与する可能性があります。
しかし、現時点ではその効果について確固たる証拠は得られておらず、
今後の研究や臨床試験によるさらなる検証が必要です。
PDE-5阻害薬の使用を検討する際は医師の指導のもとで行い、慎重に判断することが重要です。

男性にとって朝立ちは性機能の強さの象徴ですが、血管年齢を表している現象でもあり
それは健康寿命の象徴でもあります。
性機能が高いと男性の自尊心向上にもつながります。
PDE-5阻害薬(バイアグラ・レビトラ・シアリス)は性交渉のための薬とするのでなく、
多面的な効果で使用するのもOKだと思っています。

ご希望の方は当院で遠慮なく仰ってくださいね。
(禁忌適合あれば処方出来ない場合もあります) 
 

参考文献 ED治療薬がアルツハイマー病を予防?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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