気分障害
(うつ病や双極性障害など)
における不安症状と、
不安障害
(全般性不安障害、パニック障害、
社交不安障害など)
における不安症状は、
いくつかの点で異なります。
以下にその違いをまとめてみました。
1. 背景にある障害の違い
気分障害(Mood Disorders) | 不安障害(Anxiety Disorders) |
主に気分(感情)の異常が中心となる 障害です。 うつ病や双極性障害などが含まれ、 抑うつ気分や異常な高揚感が特徴です。 不安症状は、これらの気分変動の 一環として現れることが多いです。 |
主に過剰な不安や恐怖感が 中心となる障害です。 全般性不安障害、パニック障害、 社交不安障害などが含まれ、 具体的な原因がない場合でも 強い不安が持続します。 不安そのものが障害の主要な症状です。 |
2. 不安の発現の仕方
気分障害における不安症状 | 不安障害における不安症状 |
不安は気分の低下や気分の変動に 伴って現れることが多いです。 例えば、うつ病では将来に対する 絶望感や自分に対する無価値感から くる不安が特徴的です。 双極性障害の抑うつエピソードでは、 過去の失敗や将来の出来事に対する 不安が強くなり、躁状態や 軽躁状態では、過剰な活動や 責任感から不安が生じることも あります。 |
日常生活の様々な場面において、 理由なく強い不安や心配が生じます。 不安は、仕事・健康・家庭・ 対人関係など多岐にわたり、 特定の事象に対する過剰な心配として 現れます。 例えば、全般性不安障害では 常に不安が存在し、パニック障害では 突発的な恐怖発作が見られ、 社交不安障害では他者の評価に対する 強い恐怖感が特徴です。 |
3. 不安の性質と内容
気分障害における不安症状 | 不安障害における不安症状 |
不安の内容は、気分の変動に 関連しています。 例えば、将来に対する悲観的な 見方や、自分が無力であるという 感覚が不安の源になります。 不安は通常、気分の悪化や躁状態に 付随し、エピソードの期間中に 限って現れることが多いです。 |
不安の内容は、特定の状況や事柄に 関連し、日常的に過剰な心配が 続きます。 例としては「自分や家族が病気になるのではないか」「仕事がうまくいかないのではないか」など、 コントロール不能な不安です。 不安の持続期間が長く、 特定の気分エピソードに限定されずに、慢性的に続くことが多いです。 |
4. 身体症状の出方の違い
気分障害における不安症状 | 不安障害における不安症状 |
主な身体症状としては、気分変動に 伴う疲労感、食欲不振、 睡眠障害(過眠または不眠)が 見られます。 身体の緊張感や焦燥感が見られる ことはありますが、不安障害ほど 強くありません。 |
身体症状としては、動悸、息切れ、 発汗、震え、胸痛、消化器症状など、 交感神経の亢進に関連する症状が 多いです。 不安に伴う身体的な緊張感が強く、 日常生活に支障をきたすことが 多いです。 |
5. 治療のアプローチの違い
気分障害における不安症状 | 不安障害における不安症状 |
まずは気分障害自体の治療が 優先されます。 抗うつ薬や気分安定薬、抗精神病薬 が使用されます。 不安症状に対しては、必要に応じ、 抗不安薬が補助的に使用される ことがあります。 心理療法としては、 認知行動療法(CBT)や 対人関係療法(IPT)が効果的です。 |
不安そのものをターゲットにした 治療が行われます。 抗不安薬、SSRI、SNRIなどの 抗うつ薬が主に使用されます。 認知行動療法(CBT)、曝露療法、 マインドフルネス療法なども 効果的です。 |
まとめ
気分障害の中の不安症状は、
主に気分の変動に伴って生じるもので、
うつや躁のエピソードに関連しています。
一方で、不安障害の不安症状は、
特定の気分エピソードに関係なく、
日常生活の中で持続的かつ過剰な不安として現れます。
気分障害も不安障害も不安は存在しています、
それぞれの障害に応じて、
治療アプローチも異なるため、
正確な診断と適切な治療が重要です。
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