先日、
最近『むくみ(浮腫)』が目立つようになってきた!
と患者さんから相談がありました。
幸い、その方は一過性のむくみでしたが、
むくみはいろんな原因で起きるので
簡単にむくみについてまとめみました。
私が気にする「3大むくみ疾患」
(最初に除外すべき疾患は1~3)
1. 心臓関連の疾患
■特長
・下肢のむくみ
・立位で悪化
・皮膚を指で押すとくぼみが残る
・頸静脈怒張あり
・息切れや呼吸苦なども伴う
・体重増加
- 心不全
心臓のポンプ機能が低下し、
血液が効率よく循環しなくなることで末梢に
むくみが生じます。
- 心臓弁膜症
弁の異常による血流の停滞が
むくみの原因となります。
2. 腎臓関連の疾患
■特長
・腎臓のろ過能力が低下し、
ナトリウムと水分が体内に蓄積。
・初期は朝起きた時顔やまぶたが腫れるが
・次第にふくらはぎや足首にもむくみ
・皮膚を指で押すとくぼみが残る
・体重増加
- ネフローゼ症候群
タンパク質が尿中に大量に漏出し、
血中タンパク質の低下によりむくみが発生します。
- 慢性腎臓病
腎機能の低下により体液の排泄が滞り、
むくみが起こります。
3. ホルモン・内分泌関連の疾患
■特長
・ムコ多糖の沈着による圧痕を伴わない浮腫
(固い浮腫)
・体重増加
- 甲状腺機能低下症
代謝が低下し、特有の硬いむくみ(粘液水腫)が
生じます。
冷感や乾燥肌・寒がり
- クッシング症候群
コルチゾール過剰による体液の保持が
むくみを引き起こします。
顔のむくみ(ムーンフェイス)
4. 肝臓関連の疾患
- 肝硬変
肝臓の機能低下に伴い、
アルブミン(血漿タンパク質)の合成が低下して
むくみが発生します。
- 門脈圧亢進症
血流の障害により腹水や下肢のむくみが
みられることがあります。
5. 血管・リンパ関連の疾患
- 静脈瘤
静脈の弁機能不全や血流の停滞によって
血液が逆流し、静脈が拡張してしまう
疾患で局所的なむくみが発生します。
足首やふくらはぎ・立位で悪化
圧痕性浮腫・夕方に悪化・
見た目で分かる拡張した静脈
(コブのような形状)とむくみが同時に存在。
- 深部静脈血栓症(DVT)
栓が静脈を塞ぐことで血流が滞り、
静脈圧が上昇、結果として、
血管外に液体が漏れ出し、むくみが生じる。
片側の足にむくみが現れることが一般的
圧痕性浮腫・短期間で進行・
皮膚の赤みや紫色になる・痛みを伴う
- リンパ浮腫
リンパ液の流れが悪くなり、
特に四肢にむくみが出ます。
片側のみが多い
初期は圧痕性浮腫進行で非圧痕性浮腫
長期化すると皮膚が肥厚(象皮症)
夕方悪化
Stemmer徴候(足の指の皮膚をつまむと、
皮膚が厚く硬いためつまみにくい)
6. 栄養関連の疾患
- 低タンパク血症
栄養不良や吸収不良症候群による
低タンパク血症がむくみを引き起こします。
- ビタミンB1欠乏症(脚気)
血管の水分調整機能が低下し、
むくみが発生します。
7. 感染症や炎症性疾患
- 蜂窩織炎
細菌感染による炎症が原因で、
患部にむくみが見られます。
硬く限局的なむくみ・発赤や熱感や痛みを伴う。
→緊急に抗生剤を使用した治療が必要。
- 関節リウマチ
炎症性疾患による関節周囲のむくみが特徴です。
特に手指(第二関節)、手首、膝などの
小関節・赤みや熱感伴う・非対称のむくみ・圧痛あり
8. その他の原因
- 薬剤性むくみ
ステロイド、カルシウム拮抗薬、
NSAIDsなどの薬剤が原因となることがあります。
- 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
妊娠中の血圧上昇や尿蛋白とともに
むくみが現れることがあります。
(黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌増加が影響)
むくみ と言っても色んな原因で起きるのです。
また 体重が増えたと言われる方にむくみで体重増加している場合もあるため
単なる 体重が増えて困っている場合、キチント検査をすることをお勧めしております。
むくみ でお困りの方どうぞ遠慮なく仰ってくださいね。