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柴苓湯(さいれいとう) という漢方薬

2010年8月5日 木曜日

当院は精神科・心療内科の患者さんに漢方薬西洋薬の治療を相補する目的で使用しております。

 漢方エキスと漢方煎じ薬  いずれも使用しております。

本来漢方薬とは生薬(しょうやく)を水から煮出して煎じた液を服用することをいいます。

近年では手軽なエキス剤や錠剤が出てきておりますが、これらは製造する段階で揮発性成分が蒸発したり、賦形剤などの添加物が加えられるため、煎じ薬と全く同成分ではない場合があります。 

エキス顆粒や錠剤の いつでも どこででも服用できる便利さは捨てられません。 実際、漢方煎じ薬よりエキスでの治療が圧倒的に多いのが事実です・・・

コーヒー豆をひいて作ったコーヒーと インスタントコーヒー 同じコーヒーと言っても違いがあるように、エキス薬と煎じ薬は似て非なるものです。

煎じ薬は煎じるのに手間がかかりますが、特にメンタルな部分での治療では その煎じる手間隙の時間が良かったり、煎じる時の香りが、心の安らぎを与えるとも言われています。   コトコトと生薬を煎じる   時間的な余裕が治療的になっていることもあります。

先日 勉強会で 柴苓湯(さいれいとう)という 一般的にはむくみ、食欲不振、のどの渇き、夏気あたりなど使用される漢方薬(血液循環不全の時の瘀血や血虚を改善する方剤) を中心に勉強しました。

その柴苓湯 不妊治療にも応用されているとか・・・ 

女性の不妊症は器質性異常と機能性異常に大別されます。

器質的異常は生殖補助医療の技術や内視鏡手術の発展で著しく治療成績が改善しているようです。 

機能的異常に関しては ゴナドトロピン療法の発達により より高い排卵率がえられるようになっていると聞きますが、多胎妊娠の問題やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)などの問題により 副作用がより少ない漢方療法が試みられることもあるようです。

不妊症の治療では 『肝鬱気滞』や『水毒』 の証も多く 柴苓湯の構成生薬の 紫胡・半夏・は自律神経を調整し、イライラの改善、抗うつ効果を持ちます。 黄芩は適度な鎮静効果があります。

JA静岡厚生連静岡厚生病院産婦人科の中山毅の先生のご意見では (Prog.Med 30;1193-1198,2010)

先生の経験した症例などにより 柴苓湯は不妊治療によるストレスの緩和作用があり、不妊治療として有効な方剤となる可能性がある と 語っておりました。 

漢方治療 奥深し・・・  

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