「うつは運動で消える
-神経科学が解き明かした
「心の不調」のリセット法-
ジェニファー・ハイズ」
「運動することがメンタルヘルスを高める秘訣」と
常々患者さんに言っていますが、
今回参考になる本の要約を書きました。
こちらの要約を見て興味を持たれた方は、
ぜひ本を購入して読んでみてください。
手元に置いて何度でも読んでいただくことで
習慣化が期待できます。
コチラからも購入出来ますが、
当院はアフィリエイトはしておりませんので、
お好きなところからお買い求めください。
第1章【なぜ私たちの脳は運動したがらないのか?】
・脳は運動を嫌う。
その理由は2つあり、
1つは、脳は自発的な運動を「無駄遣い」と
みなしているためである。
「命がかかっている時だけ動いて欲しい」という
太古の「狩り以外の時間はグータラ」
という設定が受け継がれている。
もう1つの理由は、
運動することで脳が「ストレス」を
感じるためである。
運動のストレスが多すぎると、
アロスタティック負荷がかかりすぎて
逆効果なので、
運動の合間に休息をとることが必要。
・運動したがらない脳に打ち克つためには
「カレンダーに運動予定を書き込む」
「シンプルな運動計画をたてる」の2ステップを行う。
なぜなら、長期的な目標を策定することで、
進化した脳の部位「前頭前野」の論理が、
グータラ脳の感情を打ち負かしてくれる。
・ちょうどいい運動強度は、
乳酸閾値ジャストかそれより少し上。
自身に「今快適に話すことができる?」という
トークテストを行い「ノー」となった時に
乳酸閾値を超えている可能性が高い。
乳酸閾値はトレーニングによって
上げることができるので
「少しずつ」強度をあげると良い。
・運動すると脳由来神経栄養因子(BDNF)で
満たされ、ストレスの悪影響から脳細胞を
保護してくれる。
また、運動後は他のストレス要因に
対してもストレスシステムがオフになる。
軽い運動でもBDNFを得ることができるので、
不安な気持ちが大きい人は落ち着くまで運動強度を緩めてOK。
第2章【体を動かすと「不安・パニック」から解放される】
・運動をすることで、神経ペプチドY(NPY)と
呼ばれる回復力因子が増えるため、
不安に動じない脳を作る。
通常、脅威を察知すると「扁桃体」が
体に警告を発して身を守る行動をとるが、
不安を感じすぎていると過剰に働くため
体に負荷を与えてしまう。
NPYを多く作る脳と少ない脳で比較すると、
少ない脳の方がPTSDを発症したケースもある。
・強度の高い運動は、不安やパニック障害の人の
「暴露療法」にもなる。
しかし、そのような人にとって
運動は恐怖であり、恐怖は痛みを増幅させる。
恐怖を最小限に抑えるため、
ネガティブにならない程度の
「マインドセット(さりげない安心感)」と
「呼吸に意識を集中させて扁桃体の活動を低下させる」
アプローチを行うことで、
不安やパニックの解放につながる。
第3章【うつは運動で消える】
・1400人以上の臨床的なうつ病患者を
対象とした27件の研究結果から
「有酸素運動」と「筋力トレーニング」の
両方に抗うつ効果があることが明らかになった。
・3万3000人以上の精神的・身体的な
病気の既往がない健康な男女の追跡調査を行い、
11年後にうつ病になった人を調べたところ、
強度に関係なく「週に1度の運動」は
うつ病を予防することがわかった。
・抗うつ薬は、約3人に1人は薬が効かない時代。
抗うつ薬は「セロトニン」のトランスポーターを
ブロックすることでセロトニンを
増やす効果が期待できるが、
脳の炎症がうつの原因である場合は効果がない。
薬が効かない中、気分の落ち込みに苦しむ人は、
自殺を考えることさえある。
・運動には抗炎症作用があるため、
炎症を起こし疲労感、反社会性、
憂うつになった状態のうつ病患者を救う。
第4章【さよなら依存症−飲酒、喫煙、薬物との決別】
・アルコール、ニコチン、違法薬物などの
依存治療に運動を使った22件の研究を調査したところ
「運動によって断薬率が向上し、
不安やうつを含む禁断症状が緩和された」
という結果が出た。
・運動から得られる高揚感を利用して、
脳を依存症から解放へ導くことができる。
運動すると「ドーパミン」と呼ばれる
快楽をもたらす神経科学物質が放出され、
同時に「ドーパミン受容体」が再増加する。
薬物濫用などで「ドーパミン」を過剰供給すると、
脳はこれ以上供給しないように
「ドーパミン受容体」の数を減らすため、
さらに多くの薬物が必要になる上に再発しやすい。
運動で「ドーパミン受容体」が増えることで、
依存症の最大の課題「再発防止」にもつながる。
・特に運動中に「ランナーズハイ」の
モードに入ると、依存症からの解放に最も効果的である。
理由は、エンドルフィンと
エンドカンナビノイドを得ることができるから。
エンドルフィンはモルヒネよりも
強い鎮痛剤と言われており、
エンドカンナビノイドは大麻のような
まろやかな幸福感を得られる。
ランナーズハイは
「楽なテンポで長距離を走る」
ことで効果が期待できる。
第5章【認知症を予防し、脳の若さを保つ】
・1600人の年配者に調査したところ、
運動不足の人の認知症リスクは、
遺伝的な素因がある人と同程度であった。
・認知症は心配するほど現実になりやすい。
100人以上の高齢者を対象に記憶力テストを行い、
片方のグループに「年齢は関係がない」
もう片方には「年齢が関係する」と説明したところ、
年齢を意識したほうが記憶力に
支障が出たという結果がある。
記憶力の衰えに意識を向けると
思考力に悪影響が出る、
ということが実証されている。
・認知症リスクの30%は、
座りがちな生活スタイルに関連している。
体力のある人よりも体力のない人の方が
認知症リスクは2倍近く高い。
・第1章で言及した、
乳酸閾値を少し上回る「ちょうどいい運動強度」
が大切。
乳酸は「脳への血流を促進する」と
「脳細胞の成長と機能を促すことで
神経可塑性を促進する」効果があるため、
脳を認知症の害から守る。
・社会的に孤立している、
または孤独を感じていると
認知症を発症するリスクが高まる。
仲間とともに定期的に運動することで
健康な脳を得やすい。
第6章【不眠は運動で解決できる】
・長時間ハードな運動をすると、
自然界で二番目に強力な睡眠導入剤である
「アデノシン」が体内に蓄積される。
そのため、
日中運動すると、夜寝つきが良くなり、
熟睡できるようになる。
また、運動をすると
「徐波睡眠 (SWS)」といった、
睡眠負債を早く返済する眠りが長くなる。
・不眠症はうつ病になる確率が約10倍、
不安神経症になる確率が17倍以上といわれている。
特に10代は扁桃体と前頭前野の結合が発展途上なため、
睡眠不足によってそれが破壊され
「不安」と「怒り」の感情が強くなりやすい。
第7章【運動が「仕事」と「子どもの学力」にもたらす驚くべき効果】
・短時間の「運動休憩」で脳を活性化すると、
仕事の能率を上げることができる。
なぜなら、血糖と酸素を浴びた前頭前野が、
一連の実行機能を完璧な制度で実行するからである。
思考をブラッシュアップする余裕も生まれ、
その後最大2時間も集中力を維持することもできる。
・運動を取り入れることで、
子どもたちの乱暴や注意散漫がおさまり
学習意欲も高まった。
また、子どもの学力向上に必要な1週間の運動量は、
小学生の場合「全くしないより、
運動をしたほうが良く、毎日がベスト」で、
中学生の場合「週に3〜4回最低限必要
(日を増やしても追加の効果はなし)」とされている。
また、大人になったときの創造性を高めるには、
子どもの時に自由な遊びを1週間に
2時間以上するのが最適である。
・ADHDの子どもにとって、
運動は認知・行動・身体的症状を緩和するのに役立つ。
なぜなら、ADHDの人は前頭前野に
必要な栄養が不足しているからであるが、
運動にはリタリンやアデロールといった治療薬のように、
この不足を修正する力があるからである。
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