うつ状態・うつ病の診断は
比較的容易に行えることが多いのですが、
躁状態の診断はご本人さんからの情報が
得られにくく、
うつ状態・うつ病の診断であったが
双極性障害(躁うつ病)の診断にたどり着くまで
数年かかることは臨床上多々あることです。
(参照:双極性障害は、
最初の医療機関を受診時に正しく診断される
患者が約4分の1しかおらず、
初診から正確な診断に至るまでには
平均4年かかることが、
杏林大学の渡邊 衡一郎氏らによる調査で
明らかになった。)
→日本における双極性障害の認識と影響:インターネット調査の結果。)
それは躁状態は比較的エネルギーがあり、
本人にとってプラスな印象な状態のため、
それを本来の自分、調子が良い自分と誤認識
しているため、本人からの情報がとれず、
周囲からの聞き取りで躁状態の実態を
知ることが多いからです。
その躁状態と紛らわしい躁的防衛について
お話しします。
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「躁的防衛(そうてきぼうえい)
躁性防衛(そうせいぼうえい)」は、
心理学や精神医学において、
人が内的な不安や苦痛から逃れるために、
過度に活発な行動や肯定的な態度を
取ることを指します。
この防衛メカニズムは、
特に不快な感情や状況に直面したときに現れ、
否定的な感情を意識するのを
避けるために用いられます。
この概念は精神的ストレスを抱えた
健常者にも見られる場合があるので、
躁うつ病(双極性障害)との鑑別に必要です。
躁的防衛の特徴には
以下のようなものがあります
1:過剰な楽観主義や活動性
内面的な不安や罪悪感、抑うつ感、
劣等感を打ち消すために、
過度に前向きな態度を取ったり、
忙しさに逃げたりします。
無駄に忙しくしたり、
楽観を装ったりします。
2:感情の否認
自分が感じている悲しみや怒り、
不安などの否定的な感情を認めず、
あたかも問題がないかのように振る舞います。
本当の感情(劣等感や不安感)を認めたくないため、
逆の感情を装うことで感情をコントロールします。
3:周囲への影響
周囲の人からは、
非常に陽気でエネルギッシュに
見えるかもしれませんが、
これが過剰になると周囲を疲れさせたり、
自分自身の問題解決を妨げる可能性があります。
例:
不安を隠すため強がりを言う・虚勢を張る・
強気をよそおう・潔くない・空威張りする・
忙しく仕事をするなどです。
誰かが大切な人を失った後、
悲しみを表すのではなく、
積極的に仕事や趣味に没頭しようとする。
緊張する場面やストレスの多い状況下で、
笑い飛ばしたり冗談を言って
その場を切り抜けようとする。
躁的防衛自体は自然な
防衛メカニズムの一つですが、
それが持続的になると
内面的な問題を深刻化させたり、
精神的な疲弊につながることがあります。
そのため、必要に応じて
専門家の助けを求めることが重要です。
4:躁状態の期間
一般的に双極性障害の躁状態とうつ状態は
数週間もしくは数ヶ月ごとに切り替わるものです
(移行期は躁うつ混合期(混合状態)があります)
午前に元気が良くて、午後から調子が悪くなる
週初めは元気がなくて週末になると元気になるなど
周期が短い場合は双極性障害の躁状態ではない
場合が殆どです。
逆に躁的防衛の躁状態は短時間、短期間です
5:躁的防衛に対する治療
A:心理療法:支持的精神療法や
認知行動療法(CBT)内面の不安や抑うつ的な
感情を受け入れ、健康的に対処する方法を学ぶ。
B:双極性障害が関与している場合は、
気分安定薬(例:リチウム、バルプロ酸、リボトリール)や
抗精神病薬。
そうでない場合は、交感神経モードになっている感情を
穏やかにする抗うつ薬や抗不安薬なども使用されます。
またしっかり睡眠覚醒リズムを保持するため
睡眠剤も使用されることもあります。
C:ストレスマネジメント
日頃から気分転換を持つこと、
1週間に3回はリラックス出来る
時間・空間を持ちましょう。
また運動の習慣はストレスマネジメントに有効です。
アイさくらクリニックが推奨している
3・3・3運動を生活の中に取り入れましょう。
(1回30分以上の有酸素運動を週3回
1回30分を3ヶ月以上続けること)
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