「緊張」とは、身体や心が
ストレスやプレッシャーに反応して起こる状態です。
人は大事な場面(発表、人前で話す、試験、試合など)で
緊張を感じますが、これは人間が危険を回避しようとする
自然な反応でもあります。
ウォルター・B・キャノンが1929年に提唱した
キャノンの「闘争・逃走反応」の学説があります。
これは恐怖や強いストレスなどの刺激を受けた際に、
動物や人間が自己防衛本能として生じる反応です。
恐怖や強いストレスなどにより
交感神経の機能が高まり、
ノルアドレナリンやアドレナリンが放出
(体がいわゆる交感神経モードになります)
不安や緊張により筋肉や脳への血流が送られ、
瞳孔が開いたり、気管が広がったり、
皮膚や内臓の血管が収縮し、筋肉内の血管が拡大します。
その場で瞬時に戦うもしくは逃げる、
どちらでも可能なように体が準備をするのです。
体が「戦うか逃げるか」に備えるために・・・
●まず心拍数の上昇、酸素を多く取り込めるように
呼吸が浅く・速くなる。
●筋肉が震えるのは筋肉がすぐに動けるように備える
●手に汗をかくのは筋肉が継続的に動かせるように
体温調整のため熱を発散するため。
●胃腸の働きが弱くなるのは
消化よりも生存を優先するため。
と言われています。
緊張は悪いものではなく、
「集中力を高めるための仕組み」とも言えます。
適度な緊張はパフォーマンス向上に役立つこともあります。
扁桃体は側頭葉の内側にある神経核の集まりで、
情動や記憶に深く関わる部位です。
目の前の状況
(例:犬が走ってきた 大勢の人までに立つなど)を
「危険」や「ストレス」と認識すると、
扁桃体が活性化→交感神経モードへ
↓↓↓
扁桃体からの信号を受けて、
これは危険だと海馬に情報を送り一時記憶される。
同時に視床下部が身体に「ストレスに備えろ!」
と指令を出します。
視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸が活性化して
コルチゾールが過剰に分泌。
コルチゾールは生命活動に必要なホルモンですが、
ストレス下で過剰に継続的に分泌されると
(抑うつ気分、記憶力低下、免疫力低下、
海馬や前頭葉の働きが低下するなどの症状がみられます)
過緊張状態が長く続くと、
セロトニン(心の安定)やドーパミン(やる気・喜び)
の分泌が低下、これが長く続くと、
感情のコントロールが激しくなり、
「うつ状態」に陥りやすくなります。
効果(短期には良効果) | 長期的には悪影響 |
注意力・集中力が上がる | 記憶力低下・免疫力低下・抑うつ気分 |
一時的感情の安定化 | 脳(海馬や前頭葉)の働きが低下 |
適度なコルチゾールはドーパミン系 を刺激し、やる気、達成感をアップ |
睡眠障害→夜にコルチゾールが高くて眠れなくなる(本来は朝高くて夜低い日内変動がある) |
扁桃体(へんとうたい)と海馬(かいば)は、
共に大脳辺縁系という感情や記憶に関わる脳の領域にあります。
そして、連携機能を持っています。
感情ともなう記憶の形成
例えば「犬に吠えられて怖かった」という体験は、
まず扁桃体が「怖い!」と反応。
その出来事を海馬が「その体験がどこで、いつ起きたか」など
一時記憶します。
項目 | 扁桃体 | 海馬 |
主な役割 | 感情 (特に恐怖・不安)の処理 |
記憶 (感情記憶やエピソード記憶)の形成 |
特徴 | 危険や主観を察知する | 時間・場所など思いを 記憶する |
関連ホルモン | ノルアドレナリン、コルチゾール | コルチゾールの影響を 受けやすい |
感情を伴った記憶は残りやすいと言われています
嬉しかった記憶、悔しかった記憶、
怖かった記憶、嫌だった記憶
扁桃体で感じた感情は 一時記憶装置の海馬に送られます、
コルチゾールを伴った記憶は、より記憶として残りやすく、
最終的に必要なものだけ大脳皮質へ記憶として格納される。
特に女性は男性より扁桃体の活動が活発であるため、
怖い、嫌だった、楽しかったなどの記憶をしっかり覚えている
と言われます。
キャノンの学説『戦うもしくは逃げる』からすると
危険から逃げるための能力が高く備わっています。
男性は狩猟時代、動物などと戦って怖い思いをしても
怖いという記憶があまり定着しません。それは
怖いと記憶が残ると狩猟に行けなくなるので
合理的反応なのだと思います。
しかし、男性は空間認識は女性より優れているため、
遠くまで狩をしても怖いと記憶を残さず帰巣出来ると言われています。
たかが緊張、されど緊張
こころの健康のために上手にコントロールしていけたらいいですね。
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