心療内科の患者さんの中には 慢性的な疲労の訴えで来院される方も多くいらっしゃいます。
疲労の原因として血液検査も含む全身の検査(ホルモンの異常、内臓や脳、神経系の検査など)を行っても、疲労症状が6ヶ月以上続くなら
『慢性疲労症候群』の診断の可能性があります。
症状は
疲労感・微熱(37.5を越えない程度)・頭痛・のどの痛み ・筋肉痛(筋肉を酷使していなくてもおこる痛み)・不眠と過眠・ゆううつな気分などなど
原因としてストレス由来・ウイルス由来・特定の遺伝子に関する異常が認められていることなどの報告もあるようです。
理研ライフサイエンス技術基盤研究センターと大阪市立大学疲労クリニカルセンター中富康仁等の研究では、脳内では主に、視床、中脳、橋、海馬、扁桃体や帯状回という部位での炎症が増えていて、健常者の脳内に比べると明確に差があることがわかったと報告している。
慢性疲労症候群は、脳の血流やカルニチンなどの伝達物質が少なくなり、代謝が落ちている状態だ。セロトニン神経系のダメージが大きくなることで痛みの感受性も増えて、筋肉痛や関節痛などの症状を引き起こし、脳機能も低下するのではないかと考えられてる。
『慢性疲労症候群をともに考える会』はより病態に即した名前として
『筋痛性脳脊髄炎』の会に名前を変えて活動している
治療として
漢方製剤で補剤系のもの→補中益気湯・十全大補湯・当帰芍薬散・人参養栄湯
などで疲れを軽減し
抗うつ薬として
SSRI(パキシル・ジェイゾロフト・デプロメール・ルボックス・レクサプロ)や
SNRI(サインバルタ・トレドミン) NaSSA(リフレックス・レメロン)
などで 気力・意欲改善を期待できます。
しかし 現時点ではっきりとした病態が解明されておらず今後の研究が待たれるところです。
2015年6月8日 RKB毎日放送株式会社 今日感テレビから取材がありました。